申す・申し上げるの敬語表現とは

敬語

どこで使うか

日本語の表現は難しいもので、日本人でもよく間違いがあります。
言葉の意味が多く、活用パターンが豊富で表現が豊かですが、禁則とされているものもたくさんあるでしょう。
敬語として使ったつもりが、実は間違っていたということもよく起きるのです。

敬語を考えるうえで重要なことは、主語が一体何なのかということになります。
主語に使った相手が、目上の方になれば尊敬語を使うことになるでしょう。
では、「申し上げる」という言葉が、この時に使えるかどうかといえば、判断に困るはずです。

二重敬語の問題

「申し上げる」は、「言う」の謙譲語です。
自分がへりくだって、相手に話しますと宣言するときに使うでしょう。
「お客様が申していました」という言葉を耳にすることがありますが、この時点でちぐはぐなのがわかるはずです。

この場合には、「お客様がおっしゃいました」となります。
ですが、日本語として使い方を考えるのであれば、「お客様が言っておられました」になるのです。
二重敬語として間違いなのが、「お客様がおっしゃられておりました」になります。

ややこしくてわからないという人は、分解してみるといいでしょう。
「おっしゃられておりました」は、「言う」と「居る」という言葉を敬語にしてしまいっている二重敬語です。
では、「おっしゃられる」と「おられる」という言葉をどう使うかになるでしょう。

問題は順番にありますが、原則としてあとにつく動詞を敬語にするのです。
そのため、「言う」は敬語にせず、「居る」を敬語にします。
だからこそ、「言っておられる(居られる)」になるのです。

謙譲語Iと謙譲語IIの違い

「申し上げる」という言葉には、「申す」という使い方もできます。
この場合、両方とも謙譲語ですが、正確には謙譲語Iと謙譲語IIに分類されます。
「申す」が謙譲語IIになるわけですが、この場合、相手がいることに注意が必要です。

丁重語とも呼ばれますが、「ます」と一緒につかう非常に丁寧な言葉になってきます。
謙譲語Iの場合、「ます」という言葉もいらず、向かう先の一致しない第三者に対しても使うことができるのです。

「社長に申す」とすると、自分の行為を表していますが、「社長に申し上げる」となると、社長がいるという向かう先があります。
このように使い方が異なりますので、使う前に考えておくといいでしょう。